02

山名 宏紀

株式会社アウラ 代表取締役

「もぎ取られるような痛み」を超え「全員主役」を目指す後編

山名代表のポートレート
  • #二代目経営

スタッフの成長を信じ「待つ」ことで生まれた自発的な変化。AIがサイトを作る時代だからこそ価値を増す、人間力という名の「翻訳スキル」の正体に迫る。ゴミ拾いやお土産の分け方に宿る感性が、いかにして「ココロオドル未来」へ繋がるのか。山名社長が描く、「誰もが主人公」になれる舞台の全貌を紐解いていく。


「次」への配慮がプロを創る。対話と会議で感じたスタッフの成長

――社員さんを活かしきれる努力をされてますね。パフォーマンスを上げていくため、コミュニケーションとかとってますか。

山名: クリエイティブの方針みたいなものは、特別に場を設けて伝えるというより、普段のやり取りの中で少しずつ共有している感じです。制作の進捗を確認したり、上がってきたものを社内でチェックしたりする中で、私が「ここはこうじゃないかな」と伝えることもありますし、逆にスタッフが「私はこう考えて、こうしました」と言えば、「それもありやな。一回それで進めてみようか」となることもあります。私がどう思ったかを伝えて、本人がそれを聞いて納得することもあれば、まだそこまで掴みきれていないこともありますし、逆に私にはない発想をしていることもあります。そういうやり取りを社内で重ねながら、少しずつ感覚を揃えていっている感じですね。

――社員さんの成長を実感できそうな良い対話ですね。

山名: はい。やっぱり成長って、見ていると分かりやすいんです。例えばデザインなら、ある時からぐっと良くなる。エンジニアでも、この前までかなり時間がかかっていたことが、気づけば短い時間でできるようになっていたりする。そういう変化は、すごく分かりやすいですね。あとは、ただ言われたことをやるだけではなくて、「こうした方がいいんじゃないか」と自分の考えを持って提案してくるようになると、成長したなと感じますね。

――提案、ですか。具体的にどういうことでしょう。

山名: 最初の頃は、本当に「自分はこう考えて、こうしました」という話すら、ほとんど出てこなかったんです。未経験から入ると、どうしても言われたことをそのままやるところから始まりますし、もちろん本人なりの工夫はあっても、それを言葉にして伝えるところまではなかなかいかないんですね。でも、少しずつ経験を重ねる中で、「自分はこういうふうに考えて、これがいいと思ったので、こうしました」と言えるようになってくると、それだけでも成長を感じます。さらに、お客さまのことを考えて動けるようになったり、次の作業をする人のことまで考えて「その方が進めやすいと思って、こうしておきました」といったことが見えてくると、視野が広がってきたなと感じますし、やっぱりうれしいですね。

――「次の工程のことを考える」って、制作現場ではすごく利他的で、大切な考え方ですよね。

山名: そうですね。それはいつも言っています。常に次の工程のことを考えて仕事をしようと。うちには10年以上の経験がある人ばかりが揃っているわけでもないですし、一人で全部を完結できる仕事でもありません。だからこそ、みんなで補い合いながら進めていかないといけない。その前提があるので、連携はすごく大事にしています。

――提案が増え、クオリティが上がってくるというのは、経営者として嬉しい変化ですね。

山名: そうですね。創業当初は、平均勤続年数でいうと1年、2年くらいの状態でした。それが今は、10年いるスタッフが2人いて、5年目のスタッフも3人ほどいますので、離職はだいぶ落ち着いてきたと思います。もちろん、今でも合わずに早い段階で辞める子はいて、1年ほどで退職することもあります。ただ、以前は人が辞めるたびにかなりしんどかったんですけど、今は少し受け止め方が変わってきました。この子にはこの子の合う場所があるんだろうな、と考えられるようになったんです。

――その「前」と「今」では、山名社長の中で何が変わったんですか。

山名: さっきもお話しした通り、以前はみんなに対して求めすぎていたところがあったと思います。会社を大きくしていくには、もっと長く勤めてもらわないといけない、もっとスキルを身につけてもらわないといけない。そんな思いを、どのスタッフにも同じように持っていました。でも今は「向いていない仕事を何年も続けさせることが、その本人にとってもしんどいだけだ」と思うようになりました。一人ひとりに合う形や役割があるので、そこを見極めながら関わることの方が大事だと感じています。

――向き不向きや、理念への共感という部分ですね。

山名: そうですね。どこまで理念に共感してくれているかというのは、正直、1年目や2年目の段階ではまだ分からないところがあります。でも、今うちに長くいてくれているスタッフは、やっぱりそのあたりに共感してくれているからこそ、残ってくれているんだと思います。

――「御社のウェブ事業部です」というコンセプトについても、社員さんは共感されているのでしょうか。

山名: そうですね。当社では3ヶ月に1回、全社会議を開いています。以前は土曜日にやっていましたが、今は平日にして、半日かけて行っています。理念やビジョンのこと、日々の仕事への向き合い方を話したり、時には外部の講師を招いてセミナーをしたり、その後に懇親の場を設けたりもしています。その中で、「私たちは『御社のウェブ事業部です』という考え方で仕事をしている」ということも、きちんと共有しています。なので、この言葉をただのコンセプトとして見るのではなく、自分たちの仕事の姿勢として受け止めてくれているスタッフが多いと思います。

――3ヶ月に一度、全員が自分たちの在り方を再確認する場があるんですね。

山名: そうですね。始めたのは、私が社長になる前からです。私自身が盛和塾(注1)に通うようになって、やはり会社の方針や学びは、きちんとみんなに伝えていかないといけないなと思うようになりました。それを当時の代表に話して、「じゃあ、そういう場をつくっていこう」と始まったのがきっかけです。だから、自分が代表になってからも、これは大事なこととして、ずっと続けています。

――社員さんの変化、感じますか。

山名: はい、感じます。特に、みんなの前で自分の意見を言うこと自体が変化だなと思っています。制作の仕事をしていると、普段はみんなの前で何かを発言する機会って、そこまで多くないんですね。なので、全社会議がそういう場にもなっていると思います。それに、普段あまり考えないようなことも、そこで改めて考えるんです。お客さまのために今の当社なら何ができるだろうかとか、当社の良さって何だろうかとか。そういうことをみんなで考えるのは、すごくいい機会になっていると思います。あとは、会社の歴史を振り返って共有することもあって、そういう意味でも会社を知る時間になっていると思いますね。

――それは山名社長が企画を?

山名: 最初の頃はずっと私が企画していて、途中からは部長も一緒に入ってくれるようになりました。たとえば「マーダーミステリー(注2)」のような形式を取り入れて、デザイナーがエンジニア役を演じたり、エンジニアの一人が社長役を演じたりしながら、ある案件の進行をみんなで追ってみるような。少しゲーム感覚ではあるんですけど、ただ楽しいだけではなくて、相手の立場で考えるきっかけにもなるんですね。ほかにも、「水平思考クイズ」のようなものを社内でやることもあります。例えば……「砂漠の真ん中で男の人は仰向けに倒れている。なんででしょう」というような問いに対して、いろんな角度から考えて答えを探していくようなものです。そういう場をつくると、普段あまり発言しない人が急によく話したりして、意外な一面が見えることもあります。毎回、少しでも面白くて、しかも気づきのある時間にしたいと思って、いろいろ考えながらやっています。

AI時代でも「伴走」は奪えない。技術の先にある人間力

――クリエイティブの世界って、IT技術との相性がありますよね。かつてMacが出た時は可能性が広がった一方で、写植屋さんが廃業したり。今はAIが文章も画像も動画も作れてしまう時代ですが、そのあたりはどう考えていらっしゃいますか。

山名: 基本的には前向きに捉えています。これまでも、Webの技術が進むたびに、今までできなかった表現ができるようになったり、より使いやすいサイトがつくれるようになったり、以前より短い時間でも形にできることが増えてきました。そういう変化は、私たちにとってウェルカムなんですけど、AIが出てきてからは、そのスピードが尋常じゃないように感じています。

――Web業界としては、やはり危機感がありますか。

山名: 危機感は、やはりかなりあります。Webサイトの制作そのものも、そう遠くない未来には、ある程度のクオリティのものならAIで形にできるようになると思っています。たとえば、作りたいものをマイクに向かって話しかけるだけで、ある程度のものができていく。そういう時代はもう来るだろうなと感じています。

そうなった時に「自分たちの役割って何だろう」と改めて考えるんです。そこでやっぱり戻ってくるのが、「御社のWeb事業部です」というコンセプトなんですね。単にWebサイトをつくるだけではなくて、その会社にとって何が必要かを一緒に考えたり、AIの活用も含めて支援したり、もっと広い意味で力になれることがあるはずだと思っています。だからこれからは、「Webサイトをつくる会社」というところから変わっていかないといけない。その変化のスピードについていけるかどうかですね。

――「ホームページ制作」という点で見れば代替されてしまうけれど、「事業部」として伴走するなら話は別だと。

山名:そうです。ホームページ制作そのものは、これからAIに代替される部分が増えていくと思います。ただ、Webというインフラ自体がなくなるわけではありません。AIを使ったサイトであっても、動画を活用した発信であっても、結局はWebの上で展開されていくものです。だからこそ、私たちが関われる領域は狭まるというより、むしろ広がっていく可能性があると思っています。Webを起点に、お客さまにとって必要なことを一緒に考え、形にしていく。そういう形でお手伝いできることは、まだまだあると感じています。

――そうなると、ますます「人間力」が必要になりますね。単なる技術屋さんではなく、そこも含めた育成や、会社の在り方が問われるというか。

山名: そうですね。これまでも、ホームページをただ制作するのではなく、その会社がどこに向かおうとしているのか、何を大事にしているのかを聞いたうえで形にしていく、という関わり方をしてきました。これからは、そこにAIが入ってくることで、より品質の高いものをどう一緒につくっていくか、というコミュニケーションがますます大事になってくると思っています。今はまさに、そこへの転換の途中ですね。

AIは、早く形にするという意味ではとても強いと思います。ただ、できあがったものをどう考えるか、何のために使うのか、どんな設計にするのかといった部分は、やはり人が関わらないといけない。たとえばデータベースでも、AIが一瞬でそれらしいものを出してくれる時代になってきていますが、そもそも何を管理したいのか、どんな情報が必要なのか、どういう流れで使われるのか、といった考え方まで自動で汲み取ってはくれない。だからこそ、単に作る人ではなく、何をどう整理して、どう使える形にするかを一緒に考える存在であることが、これからはより大事になるんじゃないかと思っています。まだまだ、そこでお手伝いできることはあるんじゃないかな。

――お話を伺っていると、すごくポジティブに捉えていらっしゃいますね。

山名: そうですね。かなり前向きに捉えています。このコンセプトがあるからこそ、逆にもっと広いところまでサポートできるようになるんじゃないか、という感覚があります。「変化する時代の中で生き残っていくためには、自分たちも変化し続けないといけない」ということを、この業界にいる中でずっと意識してきました。実際、どれだけ技術を突き詰めても、その技術自体が一気に使われなくなることもあります。そうなると「自分がやってきたことは何だったんだろう」って……。

――技術そのものに固執すると、怖さがあると。

山名: そうですね。自分から変わっていかないといけないというのは強く感じてきました。昔、Adobe Flash(注3)というアニメーション作成ソフトがあったのですが……。

――ありましたね! 懐かしいです。

山名: 当時は「フラッシャー」と呼ばれるくらい、Flashにどっぷりハマっている人が多くて、私自身もその一人でした。仕事でFlashを使う機会はほとんどなかったのですが(笑)、アニメーションをプログラムで動かすことが本当に面白くて、かなり夢中になっていました。ただ、その後は別の技術に置き換わって、今ではまったく使われなくなっています。そう思うと、あれだけ時間をかけてやっていたのは何だったんだろう、と感じることはありますね。

デザイナーとエンジニア。異なる「人種」が翻訳し合う現場

――今の話にも通じますが、アウラ様はWeb制作会社でありながら、社内にエンジニアの方がいらっしゃる。これって、実はなかなかレアじゃないですか。

山名: そうなんですかね。自分たちとしてはあまり特別だと思っていなかったんですが、たしかに同じWeb制作会社さんから、エンジニアの部分を手伝ってほしいとご相談いただくことはあります。

――エンジニアの方は理系で論理的。対してクリエイターの方はアーティスティックで、右脳と左脳くらい“人種”が違うじゃないですか(笑)。そこが社内でサクサク連携できているのは、強みですよね。

山名: そうですね。たぶん私自身が、もともとシステムを組むことも含めていろいろやってきたので、その感覚は採用や社内の体制にも自然と出ていると思います。昔からこの業界にいると、本当に何でもやらないといけないところがあって、デザインも、コーディングも、SEOも、全部ひとりで担当していました。だからこそ、デザイナーとエンジニアを分けて考えるというより、互いの仕事を理解しながら一緒に進めていくことが、うちではわりと当たり前だったんだと思います。

――クライアントからすると、デザインはA社、システムはB社だと「翻訳」が大変なんです。一方はふわっとしたイメージの話、一方は機能要件を書いてくださいっていうノリで。それを社内で同じ言語でサクサクやってくれるのは、スピードも早いし、安心感が違います。

山名: 確かにそうですね。お客さま自身がデザイン側とシステム側の間に入って橋渡しをするのは、かなり難しいと思います。そこは当社としても強みの一つだと思っています。

――でも、その異なる人種が同じ環境にいてうまく回るっていうのは、実はすごく難しいことだと思うんです。

山名: 確かに、そうかもしれないですね。エンジニアの考え方とデザイナーの感覚って、やっぱり違うところがありますし(笑)。でも、デザイナーとエンジニアが同じ社内にいて、普通にやり取りしながら進めるのが当たり前だったので、あまり特別だと思ったことはありませんでした。逆に言うと、そういう環境が自然に成り立っていること自体が、実は珍しいのかもしれないですね。

「落ちたごみを拾えるか」スキルより正直さと微細な気配り

――ここからは少し、具体的に「どんな人と働きたいか」というお話を聞かせてください。

山名: まず一番に思うのは、理念に共感してくれる人ですね。今の会社の空気も、やっぱりそこを大事にする方向にありますし、そこが合わないと、本人もしんどいと思うんです。

実はこの前、一人退職したスタッフがいて、なぜうまくいかなかったんだろうと自分なりにいろいろ考えたのですが、やっぱり本人の中に「こうなりたい」という思いがないと難しいなと思いました。周りは優しく「こうした方がいいよ」「こうやっていこう」と伝えるんですけど、本人が目指しているものが違ったり、そもそも自分の意思がなかったりすると、なかなか噛み合わない。こちらがいくら働きかけても、手応えがないままになってしまうんですね。もちろん、成長のスピードがゆっくりでもいいんです。本人が「自分はこうなりたい」「ここを目指したい」という気持ちを強くもっていることが大事だと実感しました。

その「ここを目指したい」という気持ちは、理念への共感があれば自然と出てくるものでもあると思っています。だから、一緒に何かをつくっていこうという気持ちがあって、理念に共感して、周りと協調しながら動ける人と働きたいですね。

あとは、自分で考えて行動できる人。そして今のアウラに合うのは「正直な人」だと思っています。

――「素直」と「正直」って、山名社長の中ではどう違うんですか?

山名: 「素直」というのは、何でも柔軟に受け止められる、いわば受け取る力があることだと思っています。一方で「正直」というのは、自分が伝える側になった時に、ごまかさずにちゃんと出せることです。うちはメンバー同士が信頼し合えることを大事にしたいので、そこはすごく大切だと感じています。もちろん、完全に何も隠さずというのは難しいと思いますし、強がってしまうことや、弱みを見せにくいこともあると思います。でも、できるだけオープンに話せること、無理に取り繕いすぎないことが、今のアウラには合っているんじゃないかなと思います。

――正直に、オープンに。

山名: そうですね。あと、きちんと挨拶ができる、悪かった時にちゃんと「ごめんなさい」と言える、相手の気持ちを考えられる、ゴミが落ちていたらちゃんと拾うとか、そういう当たり前のことができる人。制作が好きでこの仕事に入ってくる人の中には、どうしても技術の方に意識が向きやすくて、そういう部分が後回しになる人もいます。でも、一緒に仕事をしていくうえでは、そういう細かな気配りや、まっすぐ向き合う姿勢がすごく大事なんです。

だからこそ、正直に、オープンに、人と関われる人と一緒に働きたいと思っています。

――それは、「気配りができる」ということですか?

山名: そうですね。ゴミが落ちていたら拾うとか、トイレットペーパーがなくなっていたらそのままにしないとか。そういう細かなことに無関心だったり、周りを見ずに過ごしてしまうのは、ちょっと違うなと思うんです。細かいですね(笑)。

――でも、ゴミに気づいて動けるっていうのは、仕事で問題が起きた時に気づいて動けるか、っていう部分に通じますよね。

山名: そうですね。やっぱり、そういうことに気づけないと、大きなことはできないと思うんです。気づくだけじゃなくて、気づいた時にちゃんと動けるかどうかが大事だと思います。「ゴミに気づいて拾う」ことは仕事でも同じで、違和感や問題に気づいて、そこで自分から動ける人は強いですし、周りともいい形で仕事ができると思っています。

―――同感ですね。自分の最近の体験で言えば、お土産が無くなりそうでなくならない時とか、どうにかしたくなりますよね。

山名: 分かります。最後の一つって、みんな遠慮して残りがちなんですよね。でも、気がつく人は、残りが少なくなった段階でさっと出して、きちんと片づけてくれる。そうすると、その場がちゃんと回るんです。これは人の心理にも通じる話だと思うんですけど、そういうことが自然にできる人は、仕事でも次の工程にやさしい動きができるんですよね。次に受け取る人のことを考えて動いてる。

――ここまでの言葉選びを聞いていると、山名社長は「こうあるべき」っていうのをを出しすぎないように、すごく気をつけていらっしゃいますよね?

山名: そうですね。私はどちらかというと「こうあるべきだ」と考えがちなタイプです。だからこそ、今はそれを出しすぎないように、意識して抑えるようにしています。実際、自分にはなかった考え方を部長やほかのスタッフが出してくれて、それをやってみたらうまくいった、という経験がありました。自分はずっと制作の最前線でプレーヤーとしてやっていたので、どこかで「自分が正しい」と思いすぎていたところもあったと思います。でも、ほかの人の意見をちゃんと尊重しながら進めていくことで、組織も変わっていくんだと感じるようになりました。今は、「こうあるべき」とか「こうしなければならない」と自分が思いすぎなくてもいいんじゃないか、と思えるようになってきています。

関わる全員と共に描く「ココロオドル」未来

――山名社長が掲げる「ココロオドル未来」とは、具体的にどんな状態を指しているんでしょうか。

山名: 「ココロオドル未来」というのは、まず社内で言えば、「一人ひとりが主人公として輝いている」状態だと思っています。それぞれに役割があって、その役割の中で自分らしく動けていて、新しいことにも前向きに取り組めている。そういう状態です。例えば、いま社内でSaaS(注4)のサービス開発も進めていますが、この取り組みの中で、それぞれが自分の役割を持ちながら、楽しさや意欲を持って関われている状態は、まさに自分が思う「ココロオドル」に近いですね。

お客さまとの関係で言えば、一緒に未来を見ながら、新しいものや仕組みをつくっていける状態だと思っています。まだ道半ばではありますが、ただ依頼を受けて制作するだけではなく、お客さまと対話を重ねながら、これから先を一緒に考えていく。こちらから出せるものと、お客さまの中にある考えや想いを持ち寄って、みんなで一つのチームのようになって進めていく。そうやって、関わる人みんなが前向きに、ワクワクしながら仕事ができている状態が、今の自分が考える「ココロオドル未来」です。たとえば今取り組んでいる「ひと・会社プロジェクト」も、これから発展していけば、そうなるのかなというイメージを持ってます。

――Web制作という枠を超えて、クリエイティブのあり方そのものが変わっていく。

山名: そうですね。これからは、Webサイトをつくることだけではないですね。

――こういった未来のために今挑戦していることは何でしょうか。

山名: 「一人ひとりが主人公として輝く」状態を、社内でどうつくっていくかということです。結局ずっと考えているのは、人がどうすれば成長できるのか、どうすればその人らしく力を発揮できるのか、ということなんですね。のびのび働ける環境を整えることもそうですし、一人ひとりがもっと発言しやすくすることもそうですし、私自身が頭ごなしに押さえつけないことも、その一つだと思っています。そうやって、みんなで一緒に「ココロオドル未来」をつくっていけたら、最高だなと思います。

注1:京セラ株式会社創業者・稲盛和夫氏が主宰していた経営塾です。

注2:パーティーゲームの一種です。シナリオが用意され、参加者は物語の登場人物となって、会話をしながらゲームを進めます。

注3:かつてアドビ株式会社が開発・提供していた、Webサイト上でアニメーションやプログラムなどを作成・再生するデータ形式の一つです。

注4:「Software as a Service」の略称で、クラウド経由で業務用ソフトを提供するサービスです。